セダン

一般的にはリアデッキを持つ3ボックス型の乗用車のことをいうが、中にはリアデッキを持たない2ボックス型も含まれる。 セダンには独立したトランクを持つタイプ(2ドア/4ドアセダン)と独立したトランクを持つかわりにリアハッチを設けたハッチバックタイプがある。2ドアセダンはかつて、小型大衆車を中心にオーナードライバー向けとして設定されていたが、使い勝手の乏しさなどの理由で需要が激減し、1980年代になると日本国内ではほとんどが4ドアセダンとなる。2ドア乗用車は、現在ではほとんど3ドアハッチバックかクーペに分類されるため、用語としての2ドアセダンはほぼ使われていない。

ノッチバックセダン
2ドアノッチバックセダンの例ボンネットと、独立したトランクリッドを持つトランクルームの間に車室を持つ。現在のセダンとしてはもっとも一般的な形状となる。「3ボックスカー」と呼ばれることもある。

静粛性に優れる、車体剛性が損なわれない、荷室の中を覗かれない、被追突時におけるリスクが小さいなどの利点がある。北米では、防犯上の理由で独立したトランク構造が好まれ、バレットパーキングではトランクオープナーに施錠をするか、またはトランクを開けることができないスペアキーのみでクルマを預ける場合に都合が良い。

FR(後輪駆動)や四輪駆動の場合はサスペンションアーム、プロペラシャフト、デフ、ドライブシャフトがトランクルームの前や下に位置するため、ラゲッジルームがいびつな形状となったり、容量が限られる場合がある。FF(前輪駆動)の場合はリア周りのレイアウトに制限は少ないが、バルクヘッド貫通型のトランクスルー機構を持った車種以外では、大きな(または長尺の)荷物を積めないなどの欠点もある。

多くの自動車メーカーのコンパクトカーを除く基幹車種では、企画時に3ボックス型が最量販車種として位置づけられることが多く、その設計を基本とし、ステーションワゴン、ハッチバックセダン、クーペをはじめとした派生車が開発され、時としてコンバーチブルが生まれることもある。アコードをベースにアコードワゴン、アコードクーペを作るなど。ただし、近年では車体剛性や後方の衝突安全性能の確保が難しいという理由でカローラアクシオのようにステーションワゴンをベースに逆にセダンを作る例や[2]SX4セダンのように、クロスオーバーSUVをベースにセダンを作るという例もある。

4ドアハードトップ
日本では流行したがアメリカへは安全上の理由で輸出できなかった(アメリカの安全基準)。車両中央(センターピラー)が無く、4ドアとしては異様にルーフの低いピラーレスハードトップが流行したが、側面衝突安全性への対応や経年劣化後の窓の艤装制度、またシートベルトの固定位置等に問題があった為、90年代後半には完全に姿を消した。ピラーレスハードトップはバブルの名残であったとも言える。

ハッチバックセダン

日産・パルサーの5ドアモデルはファストバック型、2ボックス型、3ボックス型で製造された時期があった(上から初代、3代目、4代目)。ハッチバックも参照

独立したトランクリッドを持つ代わりにリアハッチを設けたタイプ。2ボックス型は単に「ハッチバック」と呼ばれるが、特に外観上長めのリアデッキ(トランクルーム)を持ち、2.5ボックスや3ボックスもしくはファストバック風に見えるものは、メーカーが「セダン」と名付ける場合がある(「5ドアセダン」とも呼ばれる[4])。小型車の一部を除き、4ドアセダンをベースにリアハッチを設けたタイプがほとんどである。

3ボックスセダンと比べ、後席と荷室を使い分けるうえでの自由度が大きく、収容力も非常に高いが、その構造上、車体剛性面や静粛性が劣ること、端正なスタイルにまとめることが難しいことなどから、市場の嗜好や車格により普及度が異なる。その中で、シトロエン(XM)は一時、ルノー(30?ヴェルサティス)は現在もフラッグシップモデルにハッチバックを採用していることが特筆される。

スポーツセダン

本来実用性や快適性が求められる事の多い4ドアセダン(1970年代以前は主に2ドアセダン)に、あえてスポーツ性を加味した趣味性の強いモデルが一般にスポーツセダンと呼ばれる。インプレッサやランサーエボリューションのように絶対的な速さやモータースポーツへの参加を強く意識したモデルもあれば、アルテッツァやスカイラインのように速さよりも運転する楽しみを重要視したモデル、またはかつてのカローラGTやコロナGT、カリーナGT、ランサーGSR(特に初代モデル)、サニーVRなどに代表される普通の実用セダンとほぼ同じ平凡な外観で、しかし走ると結構速いという意外性を楽しめる「羊の皮を被った狼」的モデルもある。高出力エンジンや専用サスペンション、その他エクステリア・インテリアなどに専用装備を持つ物も少なくない。また、近年においては、より実用性を重視したミニバンの流行により、4ドアセダンとしての存在価値を見いだすためにより軽量で、低重心でなおかつ空力特性に優れることからスポーツセダンとしての味付けを強調したモデルが増加しており、保守的な顧客のためのモデルとの間で二極分化が進行している。

高級セダン
何を持って「高級」とするのかは販売会社や個人や販売されている国や地域での価値観に委ねられており、高級車の指し示す範囲にも明確な定義は存在しない。

一般的には、同様の排気量などの乗用車と比較して、高額・ハイクオリティーであり、一般的な所得水準では、入手が困難であるか躊躇させるような乗用車をさし、特徴として『走行性能・静粛性能・居住性』などが優れている場合が多い。

従来は、車両区分(セグメント)は大型ほど高級という図式がほぼ該当していたが、セグメントの定義が単に寸法に起因しているため、近年では一部瓦解している。 独自の定義の一例として、ダイムラー・クライスラーの日本法人であるダイムラー・クライスラー日本では550万円以上の価格帯の輸入乗用車を「輸入プレミアムセグメント」と括っているようである[1]。

日本はGM型の考えを参考にしたステップアップ型の高級車概念をメーカーが採用し定着した。セドリックやグロリアが一般化したとき日産は相対的に高価なシーマを開始し上位への移行に成功した。クラウンが一般化したときトヨタは相対的に高価なセルシオを日本で開始した。さらに日本でもレクサスブランドを創設した。これらは米国型フルラインの上部に位置する車となる。あくまでスタンダードな車があって、差別化とより収益を得る為の「ラグジュアリー」や「プレミアム」という概念である。

高級車の特徴

オーダーメイドの手作り

ポルシェ 911(997型)同排気量の車種よりも高額。

乗用車の基本的な訴求項目である、走行性能、静粛性能、居住性(スポーツ色の強いものは、走行性能に特化しているケースもある)にすぐれている。

手作業が多くいわゆる職人技が多い。車種よっては、ほぼすべての部品が手作業によって組み立てられている場合もある。

自動化が主流だが、内装やエンジンなどに手作業を多用するメーカー メルセデス・ベンツ、BMWなど

ほとんど自動化されておらず、ラインなどもないメーカー フェラーリ、ランボルギーニなど

6気筒以上の多気筒で、排気量が大きい(3リッター以上のものが主流)

税金が高い(贅沢であるとして懲罰的な税率をかけている国もある)

1990年代中盤以降、ファミリー向けの乗用車としてミニバンが人気を得た。それに伴いセダンの販売量は大きく減少するが、高級車に限ってのセダン需要は堅調であると言われる。2005年、トヨタ自動車が国外で展開していた高級ブランドであるレクサスが日本でも開業、1997年以降は販売減少となっている輸入高級車の需要を喚起することも期待された。2006年にはレクサスの最高級モデルであるLSが発売され、1000万円前後の価格帯であるにも関わらず好調な販売数となたが、レクサスブランド全体の販売台数はトヨタの目標を大きく下回り低迷している。

また、ホンダが日本国外で展開する高級車ブランドであるアキュラや、日産が同様に国外で展開しているインフィニティブランドもあるが、日本国内における具体的な展開時期は未定となっている。