SUV・クロスカントリー・ランドクルーザー
SUV(エス・ユー・ヴィー)とは、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(ヴィーイクル)のアメリカ合衆国での略称。現在ではアメリカ以外でも使われている。
この場合の「スポーツ」はスポーツアクティビティーつまり人間の娯楽的な活動を指す。
アメリカでの自動車のジャンルの呼び方のひとつとして、政府各省や保険会社でも使われる一般的な用語である。ミニバンやRV(アメリカでの本来の意味はキャンピングトレーラーやモーターホームを指す)などと同様、あくまでも用途上での分類であるため、必ずしも「四輪駆動」である必要は無く、駆動方式など、クルマの構成、構造による定義は難しい。

あえて定義するならば、元来の、つまり狭義のSUVは、

  1.アメリカ生まれ

  2.はしご形フレームを持つ

  3.荷台にシェルと呼ばれるFRP製のハードトップを載せたピックアップトラックのスタイルを模したクルマ

   となる。

近年はBMW、ボルボ、ポルシェ、アウディなど、背の高いクルマとは無縁であったメーカーやブランドが、スポーツカーや高級ステーションワゴンとの隙間を狙ったクロスオーバーSUVなるものをリリースし、また、FJクルーザーのようなスペシャリティーも登場している。
車種の分類基準の不明確さと共に、日本においてSUVを定義することの妨げとなっているのは、国内では、それまで「四駆」と呼ばれていたものが、販売上の都合で「4WD」、「オフロード車」、「クロカン車」、「RV」、「SUV」とコロコロと名前を変えられて来たことが原因となっている。こうした混乱のため、「SUV」にミニバンも含めて用いながら「スペース・ユーティリティー・ビークル」の略であるとする例があるが、これは上記出自からも誤りである。
SUVとオフロード車、または4WDも必ずしもイコールではなく、米国では、販売台数の増加に伴い、2WDモデルの比率が高まっている。山間部や降雪地の多い日本では、もしものときの「保険」的な考えで4WDが好まれる傾向がある。
かつて四輪駆動、4WDと呼ばれたものが非舗装路(オフロード・グラベル)の走破性に重きを置いていたのに対し、SUVはこれに加えて舗装路(オンロード・ターマック)での運動性能も重視して開発されている。また最近の乗用車ベースで、華美なスタイリングと快適性をウリにしたクロスオーバーSUVの登場により、SUVの定義も「ピックアップあがり」から、高級乗用車へシフトしてきた。トラックベースとは一線を画す、2000年代に主流となったこの種のSUVは、欧州におけるスバル・レガシィアウトバックの成功と、それに追従したボルボ、アウディ等といった欧州メーカーの、グランドツーリング的なラグジュアリーワゴンの相次ぐ登場と隆盛がその礎となっており、現在も売れ続けるアウトバックをはじめとするこれら車種との差が、必ずしも明瞭でない部分をはらむものが多い。特に日本ではクロスオーバーSUVはデザイン優先のものが多く、始祖であるワゴンよりも走破性能に劣るものも少なくない。SUV自体がシーンを選ばない走行性能とデザインを両立しようとする試みの中から生まれた点が否めない一方で、このようにファッション性のみを追求するようなSUVも生まれている。